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★本日のメイン

東京11R
ジャパンカップ
◎1.ラブリーデイ
▲2.トリップトゥパリス
△5.ペルーサ
△6.ラストインパクト
△12.ミッキークイーン

長らくジャパンカップは、というよりもここ最近の中長距離G1戦線は、逃げ馬不在で先導役に悩まされてきましたね。
ここ数年ほどはダイワスカーレットやタップダンスシチーといった、G1格を持つ逃げ馬がとんと現れていません。いつもJC・有馬記念の前には、誰が先導役を引き受けるのか、あるいはどう押し付けるのかも一つのポイントになっていたかと思います。
自分がちょっと驚いたのは、2年前2013年のジャパンカップ。最内のヴィルシーナがなぜか譲って、内枠のエイシンフラッシュが押し出される形で逃げの手に出た時のこと。
エイシンフラッシュはご存知の通り、あの超スロー展開で優勝したダービー馬。むしろ2400mでそういったペースを自力で作り出せるのなら歓迎、スローペースに持ち込んで上手く運ぶ計算が立つものと思っていました。
しかし、これまでずっと差し馬稼業をしていた馬にとっては、気分良く超スローで行けたからと言ってプラスになるものではないっぽいんですねどうやら。自分で展開を作る勘を培っていないためか、勝負すべきポイントでスパートの反応に至らず、本領の末脚を全く発揮しませんでした。
これまでずっと追い込み、差し、それどころか好位で構えていた馬が、全く競り合わずにスンナリ行けたから…と言っても、過去の自分の最高IDM分を発揮できるものではないらしいと。
逃げ勘のなさ、ペース音痴というのは、決して騎手の体内時計だけの問題に限らず、実は馬の側にもあったようなんです。「どれも逃げ慣れしてなさすぎ問題」=「馬のペース音痴」があるからこそ、JCや有馬記念の極端な超スローは起こり得るのではないか…と思いました。

そういう背景から考えると、近年のジャパンカップは、意外に「1コーナーを好位で回る」馬が連続して勝てているのも、なるほど道理です。
比較的高い位置を奪いつつ、折り合いに苦労することなしに進み、直線で強烈な末脚で迫る差し馬とほぼ同等の末脚を駆使して押し切る。このスタイルが、現代競馬の頂点を取れているわけですからね。
ジェンティルドンナは、騎乗した外人騎手に超S級馬だと評価されることは全くありませんでしたが、3年続けてJC・有馬記念の高額条件G1を制し続けることができました。
その一番の理由は、この「折り合いの良さ」+「適度に安定した末脚・機動力」があったから、スローペースG1に最適化したスタイルを築けたから、というわけです。
こういうタイプが必ず1頭2頭出現するので、後方一手の末脚勝負にこだわるタイプでは、必ずと言っていいほど着順が一つ二つ下がります。
IDMが高くても、戦略が馬群の外大回しの追い込みで固まってる馬は、このレースでは評価したくないんですよね。

一旦オープンクラスで壁に当たっていながらも、まるでゼンノロブロイのように今年に入って急遽充実しているラブリーデイ。
こういう状態のキングカメハメハ産駒に逆らう気は毛頭ありません。それに、その競馬スタイルがジャパンカップに合っているというのも大きな根拠。
天皇賞秋で若干掛かり加減だった様子はありましたが、そういう気配を見せるぐらいの闘争心をちゃんとレースでコントロールし、ハコ内ポジションを確保できる脚がありつつ、末脚が差し馬勢と同レベル。長らく積み重ねた鍛錬の賜物とも言えるでしょう。
それに時代も良かったんだろうとは思います。一番の充実期がジェンティルドンナやジャスタウェイと被らずに済み、ディープインパクト産駒の大駒もいないシーズンですしね。

そして先行力重視の話に戻りますが、昨年のエピファネイアの圧勝も、騎手心理の面で重要な示唆があると思います。
天皇賞秋で敗れた相手に対しても、今まで克服できてなかった条件に対しても、あれだけの大差圧勝という形で応えただけに、「ポテンシャルを引き出した」という表現になりがちですが、それとはもうちょっと違う部分が重要ではないかと。
JCを勝つという側面で考えると、完全に持って行かれそうになってるのを承知で紙一重で余力を残した、騎手の技術と勇気。これが必要になるのでは。
最初から高い位置を積極的に奪おうとする馬の前向きな気性は、ともすれば引っ掛かる悪癖とみなされて悉く矯正され萎えてしまいがち。しかし馬の本来の持ち味を正確に捉えて、解釈を違えず扱えば、「この馬は本来もう少し強かった」の理想形がちゃんと現れるんです。
ことジャパンカップにおいては、有力外人騎手に乗り替わって「差し負けしてた馬が先行して激走」した例が本当に多く見られますよね。
最近ではエピファネイアの強烈な乗り替わりが強調されがちですが、ちょっと遡れば
・2013トーセンジョーダン3着:メンディザバル→ビュイック
・2010ヴィクトワールピサ3着:武豊→ギュイヨン
・2009ウオッカ1着:武豊→ルメール
・2004コスモバルク2着:五十嵐冬樹→ルメール
ぐらいの「気性難+外人騎手」での成功例が出てきます。
日本人騎手では周りの馬よりも後ろに下げないと折り合いをつけられない、馬の行く気を挫いて直線勝負に賭ける縛りゲームをしているきらいがあるのを、外国人騎手は悉く覆しています。
馬の行く気に逆らわず、それでいて高い位置を確保しつついつもと同等の脚を粘りで見せる。確かに何か違う技術があるのでしょう。
天皇賞秋でしょーもない負け方をした馬、あるいは何か弱点を背後に隠しつつまるで成長が見えないレースぶりの馬。
もし、これらが「G1でも勝負になっていいはずの馬なのに惜しすぎる、諦められない」と思わせるものがあるのなら、外人騎手に乗り替わることで大きな驚きをもたらしてくれるはず。

ここまで記したスローペース前提の考え方を覆してくれるのが、今年から1着賞金3億円になったことで、本気度の高い海外馬だったのですが…。
イトウではどうやら厳しそうですね。カルヴァロ調教師も日本に到着してからの出来に自信がないんでしょうかね?逃げには拘らないから、といったコメントが聞こえるんですが。ペースを仕切ってそれでも打ち勝つぐらいの気概がないと。
また、内弁慶タイプで他国への遠征勝ち実績のない馬では、日本競馬に対応するような軽い足回りをしてる可能性はほぼありません。
一番可能性を感じるのはトリップトゥパリス。日本のG1への積極的な遠征実績があるダンロップ調教師の判断でやってきた馬です。
イギリス産馬になぜオーストラリア騎手が?と見直せば、コーフィールド→メルボルンCのセット騎乗で結果を残した経緯からでしょう。
トミーベリー騎手は、そもそも来日コメント自体も事前情報も少なめで、日本に来た経緯がちょっと謎でした。ボウマン騎手のように現地オーストラリアの文句なしのトップというわけでもない、身元引受人の島川隆哉氏の馬に積極的に乗るわけでもなく、馬質も微妙…。
どうして他の外人騎手が殺到するこの厳しい時期に、日本にやってきたのか?を考えるに、少なからずJCに出走するトリップトゥパリスの手ごたえが結構あって、東京コースの下見準備をするためもあったのでは?と思います。

サウンズオブアースは体型が京都コースにハマりすぎで、未だに2勝しかしてない詰めの甘い馬です。
ちょっと気性とは違う部分で別の扱いにくさがあり、デムーロ騎手はこの馬に4度騎乗して一度も勝ててません。これは相性の悪い乗り替わりだと考えてます。
ゴールドシップは、本当に何も縛りのない状態で出走できるのであれば、別のチャンスがあっても良かったとは思います。
しかし今回は、ゲート再審査対象となるような出遅れは絶対にできません。有馬記念に出られなくなりますからね。とにかくゲートに全力で、ちょっとレースプランどころではないというのが正直なところなのでは。
それに今年の春は、裂蹄を発症しながらG1を無理して勝った経緯があり、心身に負担がかなり掛かっていたはず。やはりピークにいきなりは戻しにくい、という懸念が大きいです。
ミッキークイーンは、430kg台でジェンティルドンナよりも一回り体が薄い馬。背丈で負けてない特殊な体をしているにしても、やはり華奢です。
ジェンティルドンナはオルフェーヴルを相手にして体をぶつけに行って競り負かす闘争心を見せましたが、この馬にそういう芸当は…おそらくできないでしょうね。
おまけに的にかけるべき中心馬が同厩馬ですし、そのラブリーデイをなるべく邪魔しないように乗って勝つという戦略的縛りが大きいですよね。この馬だけがズバ抜けた瞬発力を記録して差し勝つという流れも想像しにくいです。3着まででしょうか。

京都12R
京阪杯
◎6.エイシンブルズアイ
○1.ベルカント
▲4.ビッグアーサー
注9.アースソニック
△14.サドンストーム

ジャパンカップの外人騎手への乗り替わり話が、ここでもポイントになるのかも。
エイシンブルズアイも、重賞で必ず足りると思わせておいて、いろんな人たちをやたらとやきもきさせてきた馬ですよね。NHKマイルCに登場した時も、本当に馬体は良いと感じました。
やっぱり遡って考えてみれば、端的に差すリズムが意外とハマらないのでしょう。スローの上がり勝負を2番手で凌ぐ、というレースならやれているんですが、少し控えてそのラップを刻んでいるようでいて、なぜか伸びません。
福永騎手は何となく察してたような履歴ですが、コテコテの先行ごり押しタイプなのでしょう。折り合わせること、前に壁を置くことを必要以上に考えすぎた結果が、この大敗履歴だったのでは…と思います。
こういうタイプこそ、外人騎手への乗り替わりで一変するような馬ではないでしょうか?
もういっそ、ベルカントを交わして逃げてくれないかと思うほどですね。エイシンブルズアイがそうならなければ、ベルカントは見え見えの単騎逃げなので対抗に置きますが。

基本的にはスプリンターズSに出走した馬はみな大コケしているレースで、夏場の短距離重賞が豊富なシーズンに頑張りすぎた馬は、疲労が残りやすい時期。
ベルカントもビッグアーサーも、季節の変わり目の影響がいかほどか、ですね。追い切りタイムだけなら全く問題ないとは感じるのですが…。






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