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【中山10R】有馬記念
▲7.ダイワファルコン
注15.ナカヤマナイト
△3.スカイディグニティ
△14.ビートブラック
△13.ゴールドシップ


 今年ほど1着が見えない有馬記念は、近年経験したことが無いと思います。有力馬・人気馬でも、予想や馬券が当たっても外れても、この辺が勝ち負けするんだろうな、という大まかなイメージはどの年でもあるものです。特にGTともなれば尚更。ところが今年は本当に何が勝つのか分からない。

 まずは、おそらく1番人気のゴールドシップ。確かに、成績が崩れているのはダービーだけ。それもレース内容を見れば別に崩れているわけではありません。適性の差。それでも皐月賞はあのワープが大きかった内容ですし、菊花賞はダービー上位馬がごっそり抜けて、他のメンバーが低レベルな一戦。マイラーで次走OPで牝馬に完敗してしまうマウントシャスタが2番人気だったんですから、それはもう相当です。さらに展開も向いていた。追い込み脚質というのも、有馬記念、また、今の中山の馬場では不利です。内田騎手も今開催の芝レースではかなり存在感がありません。元々芝よりはダートの方が成績が良い傾向でしたが、今開催に限らず、最近はそれがより顕著になってきた印象もあります。スタミナ豊富なのはわかりますが、有馬記念はそれだけでは勝てません。好走は十分あるでしょうけども。

 出走数の半分を占める5歳世代。ですが、これはやはり昨年同様、基本的には消し。昨年の有馬記念は超が付くスロー。2分36秒台なんて過去10年見ても昨年だけです。1000万クラスの馬にだって出せる時計です。他はどんなに遅くてもせいぜい2分33秒台だったものが、それよりさらに約3秒も遅いんですから、やっぱりレベルの低いレースだったと言わざるを得ない。そんな展開だからこそエイシンフラッシュは2着できましたし、逆に言えば、それでも勝つことはできなかったわけです。今年の天皇賞(秋)も、逃げたシルポートだけがHラップを刻みましたが、後続はスローの展開でした。さらに、何故か内がポッカリ開くという不思議な光景が。当日の馬体の良化があったにしても、完璧に「嵌った」勝利だと思っています。なので、勝ったからといって評価は上がりません。

 2番人気になりそうなルーラーシップも、2年連続で馬券圏内に絡めず、日経賞はあまりにも情けない負け方。ネコパンチに逃げ切りを許すだけなら、あの馬場なので許容しますが、ウインバリアシオンに末で負けてしまうというのはいただけない。マツリダゴッホは内回りも外回りも関係なく中山が得意でしたが、ルーラーシップは同じ中山でも、外回り2200mと内回り2500mの適性の違いが明確なタイプです。天皇賞(秋)の時に、勝つイメージが沸かないということを書きましたが、実はGTでこの馬のことを考える時はいつもそう。あえてベターな条件としては宝塚記念なんだと思いますが、デキ7分のオルフェーヴルに完敗してしまうようでは、もう国内GTを勝つのは難しいのかもしれません。能力が高いのもデキが抜群なのも分かっていることですが、それでも勝てない馬なのではないか?、という考えです。ましてやスタート出るのか出ないのかわからないなんて、一昨年のペルーサと全く同じ状況。ペルーサは本番では好スタートを切って先行しましたが、結果は4着。慣れないことをするのも良くないのかもしれませんね。

 ダークシャドウは距離も中山も、今の馬場も大丈夫といえば大丈夫だと思います。ただ、あくまで大丈夫というだけで、向く条件でないことは確か。いくら休み明けと言えども、右回り小回りの札幌記念でフミノイマージンに負けてしまうようではちょっと。ムーア騎手も、どうやら府中のころからのようですが、芝ではほとんど結果を出せていません。土曜は芝で2勝しましたが、どちらも1番人気。返し馬やレースを見ていると、上手いと感じるシーンがほとんどありません。ムーア騎手を評するならば、追うことだけに長けている騎手、という感じです。まるで地方騎手みたいな。だからこそ、雨で時計が掛かった土曜はその腕っ節が生きていました。こういう混戦なので外人騎手には絶対注目するべきだと考えていますが、ムーア騎手への信頼は個人的にはほとんどありません。
 逆に外人騎手で注目したいのはスミヨン騎手。先週は日曜のみの中山騎乗ながら、騎乗機会5レース全て掲示板に乗るというものでした。しかも1番人気は1つもありませんでした。スカイディグニティが強い馬だなんて思ってません。人気もない。だからこそ、後ろで牽制しあう人気馬を放っておいて、さっさと自ら動いて行ける強みがあると思います。枠は良いので立ち回り次第では見せ場あっても。中山大障害がまさにそんな感じで人気馬がコケましたし。

 基本的には消しとした5歳世代ですが、その例外となるのは、遅れてOPクラスに上がってきた馬。3歳春のころはクラシックに乗り切れなかった馬でも、ようやく成長してここまで辿り着けた馬。展開も見越せばトレイルブレイザーは凄く興味があったんですが、さすがに調教師も苦笑いするほどのデキ。写真を見ても太く、調教を見ても動きが重い。さすがに手を出せる状態じゃなさそうです。となると、他2頭、ダイワファルコンとビートブラックには少し注目してもいいのではないか、と考えました。2頭ともデキはかなり良い部類です。ダイワファルコンの先行力は展開的に有利になりそうですし、馬場もこなせる。中山も得意。春先はデキが悪く、人気を背負っていても結果を出せませんでしたが、この秋はそれから比べると見違えるほと良くなっていました。ジャングルポケット産駒は土曜も馬券圏内に絡んできているように、血統的なバイアスも味方しています。母系を見れば母がダイワメジャーの全姉、ダイワスカーレットの半姉という血統。さすがに勝つとまでは言いませんが、穴を開ける可能性は高いのではないかと考えています。天皇賞(秋)はあんな切れ味勝負ではまず無理な馬なので、適性外ということで良いと思います。今の馬場でなら。ビートブラックはもう明らかに楽に逃げられる組み合わせ。JCも直線はバテて止まっているわけではなく、ひたすら同じラップを刻んで流れ込んでいるだけ。元々そういう馬ですし、マークが薄くなり、コーナー回数も増える今回は狙っても良いはず。ただ、馬体を見比べた場合に、この馬がGT2勝というのは、ある意味、ジェンティルドンナが4冠達成、3歳牝馬がJC制覇した以上のインパクトある「事件」になると思います。いくらなんでもそこまでは、という気持ちも半分。自分はさすがに知らない世代ですが、メジロパーマーという馬がいたそうで。タップダンスシチーの例もありますし、前例はアリということでしょうか。

 回避したオルフェーヴルと同期になる4歳世代。そこからなら、中山なら走るナカヤマナイトを。おそらく、馬体的には劣ります。これも勝つとは言えないながらも、人気が無いなら面白い1頭。5歳世代同様、クラシックに乗らず、遅れて来た馬としてはオーシャンブルーとルルーシュが出てますが、アルゼンチン共和国杯からさらに1戦挟むオーシャンブルーには余力があるのか疑問。アルゼンチン共和国杯からの過程で結果が出たのは、近10年では02年のみ。その時は東京競馬場が改修中で、中山で行われていました。2着コイントス、3着タップダンスシチーがそれぞれ本番で3、2着。同じコースだからこそ適性が通用したということ。東京で行われるアルゼンチン共和国杯とは全く違うので。適性を言うなら逆に負けてるくらいの方が良いんです。グラスワンダーみたいに。


穴馬は次から次へと見つかるのに、本命馬が見つからない今年の有馬記念。オッズほどの偏りや信頼があるようにはとても思えない、というスタンスで当日のパドックを見たい。多分結論は出ないと思いますが。





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